「稼ぎたければ、捨てなさい。起業3年目までに絶対知っておきたい秘密の裏ルール」という本をざっと読んでみました。本屋で平積みになっていたのがきっかけです。
最近はこの手の本を、「読者に対して何を売ろうとしているのか」という視点で目を通すことが多いです。
たいてい無料の資料請求や、ウェビナー(ウェブ上で動画で行うセミナーのこと)につなげて、そのあとコンサルティングビジネスや教材・情報商材を販売するケースが多いようです。一連の流れを含めてどういうマーケティングの仕組みになっているのかを調べるのが勉強になります。
内容の要約
さて、肝心の内容ですが、ビジネスやマーケティングの一般論をまとめてあるというような内容でした。起業するときに商品にこだわってはいけないというような、他の書籍でもよく語られている正論が並んでいます。
・爬虫類脳(短期的欲求)、哺乳類脳(感情)、人間脳(理性)の複合で購買を判断しているが、売るときには爬虫類脳に訴えかけるようなメリットを含めたキャッチコピーにするのが望ましい
・儲け話を持ってくる人がいるが、その人が儲かるだけななので乗ってはいけない。
・商品イコール市場ではない。商品と売り方の組み合わせで市場が分類される。戦う市場を1つに絞って集中して取り組むべき。また、商品に固執してはいけない
・見込み客には段階がある「悩んでいる」「解決策を探している」「すでに商品を買った経験がある」の3段階。このうち、悩んでいる、解決策を探しているの層は冷やかしの可能性がある。すでに商品を買った経験がある見込み客が最も売りやすい相手。
・競合他社のお客様を調査することでニーズがわかる。社名と「お客様の声」などのキーワードを組み合わせて検索することで調べられる。お客様の願望、悩み、痛み、フラストレーションなどを知ることは非常に有効。ただし、インターネット上にはウソのお客様の声が大量に掲載されているので、本当のものかどうかの判断が必要。
・リストを分類して、反応率が高いほうから順番にアプローチする。1.既存客ハウスリスト、2.見込み客ハウスリスト、3.競合他社リスト、4.類似業種リスト、5.チラシやホームページ
・はやりの集客方法などに飛びついても稼げない
・既存客の共通点に着目して、その属性の人をターゲットとして売るのが良い
感想
この手の本は、転売やら不動産投資やらはっきり言って胡散臭い副業やビジネスの方法を提案することが多いのですが、その手の話は一切なかったです。そういう意味では誠実で良い本だと思いました。
全体的な内容としては、独立したがっている人向けの自己啓発本によくありそうな注意点だったり、プッシュ型からプル型のマーケティングへみたいなもので、ありふれていると言えます。
ただ、他社の事例や喩え話を多用して、とてもわかりやすく書いてあるのはすばらしいです。これから起業やマーケティングの基礎を学ぶ意味では参考になるかもしれません。
普段からこの手の本を頻繁に読んでいる人からすると、「他の本で読んだかな?」みたいな内容がけっこうあるかもしれません。少なくとも僕はそうでした。
この本の販売目的は?
最初に裏側の流れを知りたいと思って手にとったと書きました。
著者の方のこの本での目的はとりあえず無料のノウハウ動画(ウェビナー)に誘導して、メールアドレスを集めることみたいです。
書籍で動画の視聴者やメルマガの読者を増やして、少しずつ信頼を積んでいって高額な何らかの商品を売るというのは最近よくある流れです。
僕は特に動画は見ようと思わなかったので、実際にこの本の購入者がその後どういう商品に誘導されるのかは知りませんが、たぶんコンサルティングか情報商材(PDFデータや動画データなどの教材)だと思います。
起業に興味があって、普段あまりマーケティングやビジネスに関連した本を読まない人に向いていそうな本でした。

稼ぎたければ、捨てなさい。―起業3年目までに絶対知っておきたい秘密の裏ルール―
- 作者: 船ヶ山哲
- 出版社/メーカー: きずな出版
- 発売日: 2016/08/24
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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