仮想通貨の相場がしばらく軟調だ。
ずるずると下がり続けている。
暴落というほどの水準ではまだないと考えているが、これから暴落する可能性はある。
理由として考えられるものをあげてみる。
なお、マウントゴックスの破産管財人がビットコインを大量にまとめて買って売っているから下がっているという話はあるが、売り切ったら下げ圧力はなくなるわけなので除外。
モナコインやVergeのように攻撃を受ける
ビットコインのほうがハッシュレートがはるかに高いとはいえ、類似の攻撃を受ける可能性はある。
ただ、ほかのアルトコインと違うのは、ビットコインは基軸通貨になっていて、仮想通貨全体の信用に大きく関与しているため、ビットコインへの攻撃が成功したことが発覚した瞬間に市場全体が暴落しやすいことだ。
攻撃が成功すると価値が暴落して、攻撃者のメリットがなくなるので、ビットコインを攻撃するインセンティブはなくなるというのが通説だった。
しかし、ショート(空売り)ができる環境が整ってきて、出来高が増えれば増えるほどショートを積んでから、暴落させることがメリットになる。
できるだけ大きく空売りしてから、攻撃をしてそれが上手くいったというニュースを流せさえすれば、目的が達成されてしまう。
暴落させることが目的なら、別に奪いとったビットコインを売りぬけることができなくても問題ない。
先進国で規制が入る
あまりの普及スピードに驚いた先進国が利用を禁止することで暴落する可能性がある。
ビットコインが普及していき自国の通貨以外で直接決済されてしまうと、通貨発行利益(シニョリッジ)が得られなくなる。
また、金融政策も自国の都合のとおりにできなくなる。そのため、普及しすぎると禁止される可能性は十分にある。
たとえば、いま中国発のWechat Payが爆発的に普及していっているが、あれがアメリカや日本で最も普及したものになるかというとならないだろう。なぜかというと、中国の一企業からの影響があまりにも大きくなりすぎるためだ。
これは別に中国とアメリカや日本の政治的な関係性とは関係なく、どんな国が相手であっても、自国の心臓部を他国に明け渡すことには抵抗があるだろう。
ほかにもたとえば、通信キャリアの電波の権利やテレビ番組の放映権などは外資への規制が入ってるのが普通だ。万が一どこかの国と戦争になったときに、もしその戦争相手の国が関与している通信キャリアが国内で大きなシェアを持っていたら、国防に影響する。
もしある国がビットコインを禁止しても、いったん暴落するかもしれないが、ほかの国で仮想通貨は使われ続けるだろう。
しかも禁止した国では、関連した海外からの投資は減り、人材も流出してしまう。日本も規制の厳しさでそうなりつつあるが。
GoogleやFacebookを追い出した中国のように外資を締め出して、独自の生態系を作るかもしれない。
国で独自の仮想通貨を発行して、それを普及させるということだ。いま中国のIT企業が圧倒的に成長していることを考えると、鎖国のような感じになっても内需で成功する例は増えてくるだろう。
巨額のショートを積むヘッジファンドがあらわれて、狼狽売りが連鎖して暴落
1つの会社、組織がビットコインを暴落させるなんてあり得ないと思うかもしれないが、いまくらいのサイズ感であれば、どこか1つの大きなヘッジファンドが全力で売ったら、それだけで暴落させられるはず。
一気にまとめて売って下げて、狼狽売りが連鎖していけばそれだけで暴落だ。
ヘッジファンドがタイバーツの暴落を誘ったアジア通貨危機のような事態になる可能性は十分にある。
だいぶ前とはいえ、国と戦う規模感で勝負してくる人が実際にいたわけで、同じように仮想通貨の下げに賭けてくる人もいるかもしれない。
黎明期からの大口ホルダーがまとめて売る
ビットコインの発明者であるサトシナカモトは、運用開始直後に自らマイニングをしていて、大量に保有しているが1BTCも動かしていない。
同様に、ビットコインの価値がゼロだったときからマイニングしていた人たちが大量に保有している。
最初にピザ2枚と10000BTCが交換されるまで、無価値だったわけなので。
これらの黎明期からのホルダーが、一気にまとめて売ると、それが暴落の原因になる。
なにか信用を失墜するような事件が発生するとか、金銭的な理由以外で売り始める人がでる可能性。
マイニングの収支があわなくなって一斉に離脱され、持続できなくなる
マイナーが支払う電気代と、掘れるビットコインの時価が逆転して、マイニングの収支があわなくなることがもしあれば、稼働が続けられなくなって暴落のきっかけになるのではないか。
マイニングのディフィカルティ(難易度)調整の仕組みがよくわかってないので、見当違いのことを言ってるかもしれない。
ビットコインよりも優れた仮想通貨ができる
インターネットの初期にYahoo!がディレクトリ型の検索エンジンとして大きな力を持っていたが、違う仕組みを持つ後発のGoogleに一気に抜かされ、いまは倒産の危機に陥っているような事例がある。
似たようにビットコインも仮想通貨というマーケットを立ち上げるきっかけになったものの、後発の新しい仕組みに取って代わられてしまう可能性がある。
すでに基軸通貨の地位はイーサリアム(ETH)に脅かされているように感じる。
ただ、イーサリアムやビットコインキャッシュなどの既存のアルトコインによって陳腐化されてしまう未来は想像しづらい。
いまはまだ存在しなかったり、名前を知られていなかったりするものが流行してビットコインの代わりになるというストーリーのほうが現実味がある。